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 「そらとぶじゅうたん」
アラビアンナイトより
泉さち子／文、長島克夫／画
教育画劇
夏休み中のおはなし会には、いつもより大きい小学生の姿も多く見られます。
そこでちょっと長い物語にも、おもいきってチャレンジさせてもらいます。
全16場面です。15分かかりました。
「空飛ぶじゅうたん」といえば、「魔法のランプ」とともにアラビアンナイトの必須アイテムで、アラジンにもシンドバッドにもアリババにも登場したような気がしちゃいます
^^;
さてどんなおはなしなのかというと…。
むかしむかし、インドの３人の王子が
「いちばん珍しい宝物を持ち帰ったものが、美しい姫と結婚できる」
と王と約束して旅に出ます。
一番上の王子が手に入れたのは、思いのままに空を飛ぶじゅうたん。
二番目の王子が手に入れたのは、見たいものが見える象牙のめがね。
末の王子が手に入れたのは、匂いを嗅げばどんな病気も治る不思議なりんご。
帰途落ち合った王子たちは、象牙のめがねの力で、愛する姫が瀕死の病であることを知り、空飛ぶじゅうたんでそろって城へ帰り、不思議なりんごで姫の病を治します。
三人の王子が持ち帰った宝の、いずれが欠けても姫を救うことはできなかった、
この勝負引き分け！
…というところで、この紙芝居は終わります。
ここまでだと、日本の「三本の矢」みたいな、三人兄弟力を合わせて困難を乗り越えるおはなしとして読めます。
でもアラビアンナイトは、それで終わるはずがありません。
この紙芝居でも、脚本の最後にこうあります。
「げんきに なった おひめさまは、それから ずっと あと、二ばんめの 王子さまと けっこんしたと いう ことです。（おわり）」
一体この後、姫と三人の王子の間でなにが起こったのか、ものすご〜〜く気になるではありませんかっ！
それで、アラビアンナイトの邦訳をあたってみよう！と思い立ちました。
ご存知のとおり、アラビアンナイトは全編で何十巻にもなる大部の書です。
その中から、希望のくだりを探し出すことができるのかなあ、と半信半疑でありました。
そんなわたしに、うってつけの一冊が見つかりました。
「アラビアンナイトストーリー」（實吉達郎／著、新紀元社）
これは紙芝居ではありません。
アラビアンナイトの世界に耽溺しているという博識の著者による、アラビアンナイトに登場する物語をすべて網羅要約し1冊（全552ページ）にまとめられた、なんともありがたい本です。
さっそく目次を繰ると、ありましたありました！
「アーマッド王子と仙女ペリ・バヌー 空飛ぶ絨毯の物語」
三人の王子はその後、弓矢の勝負で姫と結婚する権利を奪いあい、姫と結婚した王子にも、残念にも敗れた王子にも、さらに奇想天外な物語が続くのでした。
わたしはディズニー映画をあまり見ていなくて、子どもたちが親しんでいる「アラジン」のアニメ映画に、空飛ぶじゅうたんがどのように登場するのか知りません。
實吉さんの本を読む限り、「アラジンと魔法のランプ」には空飛ぶじゅうたんは出てきません。
ちなみに、「〜空飛ぶ絨毯の物語」「アラジンの魔法のランプ」あと「アリ・ババと四十人の盗賊」なんかも、本書の中では第二部「千夜一夜物語拾遺（サプレメンタル・ナイト）」ダイジェストとして納められています。
これは、底本とされている「バートン版千夜一夜物語」では、シャーラザッドが千一夜にわたって語り続ける物語として含まれていないけれど、ほかの写本や刊本にある物語群、いわゆる番外編というわけです。
でも、本編に勝るとも劣らないというより、とびっきり面白いがために千夜一夜物語本編を超えて語り伝えられているおはなしなのだと察せられます。
わたしたちは、子どものころからシンドバッドやアラジンを語り部に、アラビアンナイトのオイシイ部分を紹介されていたわけですね。
要約していただいたものを読むだけでも、奇想天外な発想の連続にワクワクします。
いつかまた全約本の読破にも挑戦してみたいなあ、遠いアラビアの地にも行ってみたいなあ、と夢は膨らむばかりです♪
長々と空飛ぶじゅうたん顛末記及び脱線記事をお読みいただき恐縮です
m(_
_)m
この夏、紙芝居をきっかけに思いがけずアラビアンナイトと出会い、わたしの部屋に異文化がやってきたような素晴らしい空想の時間を味わうことができました。
要約とはいえ、大人向けに書かれたアラビアンナイトは露骨な性描写が頻出するので、お子さんにはおすすめできないのが残念ですけれど
^^
ムーラン |
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| シンドバッドのぼうけん |
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| informed on 2008/08/19(Tue) 21:35 by ムーラン |
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 長々ついでにもうひとつ。
これまでに当サイトではアラビアンナイトからの物語として、この紙芝居をご紹介したことがありました。
「シンドバッドのぼうけん」
作画／白梅進、美術／フィルム・マジック、仕上／ライフ・ワーク、
教育画劇「世界名作アニメかみしばい」
不思議な冒険が12場面でドラマチックに展開する、夏におすすめの紙芝居です！
さて、このおはなしを例の「アラビアンナイトストーリー」（實吉達郎／著、新紀元社）で探してみると、バートン版千夜一夜物語第536〜566夜「船乗りシンドバッドと軽子のシンドバッド」中「船乗りシンドバッドの第二の航海」として、巨鳥ルフの足につかまって空中旅行しダイヤモンドの谷へ行く物語が登場します。
この紙芝居になっているのとは異なるような気がするのですが、わたしが子どものころ（30年くらい前）テレビで「シンドバッドのぼうけん」というシリーズアニメが放映されていました。
少年シンドバッドが、不思議な国へ行ったり不思議な魔人たちに会ったりする、幼心にも異国情緒満載の物語でした。
その中でよく「バグダッドの都」が登場しました。むかしむかしの桃源郷のような「おはなしの国」なのだと思っていました。なにしろ不思議な人がいっぱいいるみたいだったんで
^^
世界史の教科書にバグダッドが登場したときは、なんだか物語と現実が混乱するような奇妙な気持ちがしたものです。
そして現在、わたしの中の夢の都バグダッドが、爆弾の飛び交う戦場として語られているのは本当につらくて、目にするたび耳にするたび受け入れがたい悲しさがわいてきます。
またまたさらに脱線ばかりで失礼しました
m(_ _)m
ムーラン |
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