「はーくしょい」
瀬名恵子／文・絵・解説
教育画劇

その日のおはなし会は、たくさんのお友だちが集まってくれたのですが、
みなさんお行儀良く、静かーに聞いていてくれたのです。
ムーランのおはなし会は、常に参加型対話形式のはずなんですけど。

そんな沈黙を破ったのが、この作品でした。

この作品の前に読んだのが、お母さんを題材にした作品でもあったので、
「みんなのお母さんは、春になると”ハークショイッ”ってくしゃみしてないかな！？」
と問いかけたところ、たちどころに！！！
そうだよ！マスクしてるよ！僕もだよ！と会場中から反応が！

そして脚本の少ないこの作品を、観客のお友だちと作り上げていきます。
「とっても
げんきな　ルルちゃんが」
（さっと　ぬく）
「きゅうに
は　は　は　は
はーくしょい！」

くしゃみが出たら、どうしたらいい？
「お洋服着る！」「マスクする！」「お薬のむ！」
魔法使いでも治せないルルちゃんのくしゃみ、どうしたらいいと思う？
「うーん・・・わかんない」と素直な観客のみなさん。

作者である瀬名恵子さんの解説によると、
この作品は、子どもたちがお医者さんを頼る気持ちを助けるために作ったそうです。
魔法使いでも治せないくしゃみを、
優しくも頼りがいのあるお医者さんが解決してくれます。

実はわたしがこの作品を演じたのは、大きな小児病院の待合でした。
お医者さんがヒーローの作品には、またとない会場です。
そんな結末はともかく、観客は
セーターを着ても、マスクをしても止まらない、そんなくしゃみの感覚を
共有して楽しんでいたと思います。

１２場面。脚本も絵もとても簡潔。
３歳くらいから楽しめると思います。
あ、手元にある本作は、とっても年季入ってます。昭和52年再版発行とある。
お近くの図書館に蔵書されていますように。
初版当初は冬向けの作品だったはず。昨今では春の花粉シーズンにも！

ムーラン