「つきよのヤマネ」
千世まゆ子／脚本、ひろかわさえこ／絵
童心社「年少向け　おひさまこんにちは」

全８場面の幼児向け紙芝居です。
月の晩に、ヤマネが
「あれあれ、おいしい　いいにおい。なんだろう？」
と見つける果物は？

…と書くと、よくある当てっこの紙芝居だな、と思いますね。
そうではあるのですが、この作品の場合、
登場するのは、普段食卓や絵本で親しんでいるものばかりではないのです。

まず、主人公からして「ヤマネ」です。
中にはヤマネに親しんで生活されている方もおられるかもしれませんが、
わたしの場合、たった今Wikipediaを参照しました。
ヤマネって、ムササビみたいに飛ぶのだったかしら？
ヤマネって、北海道あたりにいるのだったかしら？
ヤマネって、木の葉も食べるのかしら？
…すべてハズレでした ^^;
とはいえ、ヤマネのことを知らなくても、作品は楽しめます。
子どもたちは「リス」の友だちかな？　くらいに思うでしょうし、
たぶんその予想は、当たらずとも遠からずでしょう。

さて、では問題の果物はというと、
これまた「バナナ」でも「リンゴ」でも「ミカン」でもありません。
ここではあえて、ズバリ書かせてもらいます。
最初に登場するのは「ブルーベーリー」、
次に登場するのは「スモモ」です。
「ヤマネ」に親しんでおられるような方にとっては、
ひょっとして「ブルーベリー」や「スモモ」が樹になる光景は
見慣れたものなのかもしれません。
わたしやわたしの周囲の子どもたちには、？？？？？で、
出題画面のシルエットを見て、あーでもないこーでもないと、
いつもより想像を働かせるのが楽しい紙芝居です。

難問２問を経て、最後に登場するのは「スイカ」です。
こんどはわたしたちにもシルエットだけで一目瞭然。
みんなで大当たりにうれしくなります。

最終画面は、大きなスイカを齧ったヤマネが
まんまるお月さんに照らされて、丸くなって眠る絵です。
こんなふうに大きなスイカの葉の中で眠る
キュートなヤマネに出会えたら楽しいだろうな。
そんな想像もふくらみます。
ひろかわさえこさんの愛らしい絵を、
夏中楽しみたい紙芝居です。

ムーラン